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古建築ディスニーランド?

マイケル・ジャクソンはネバーランドを作り、ルートヴィヒ2世はノイシュヴァンシュタイン城を作った。で、本邦ニッポンは? 

自邸を建てる前に「部屋から三重塔なんか見えるといいかもね」で京都から室町時代の三重塔を移築してしまう、ビッグな数寄者がいたんです。それが仏殿、茶室、果ては紀州徳川家の夏の別荘まで、5万坪を超える敷地をしかるべく造成した上で日本建築史をおさらいできるほどの古建築を「蒐集」し、集めた日本美術コレクションを使って仙境の茶の湯の楽しんだ超ビッグスケールの茶人、原三溪。

10月31日〜11月30日まで、三渓園内・三溪記念館で開催される「原三溪と美術──蒐集家三溪の旧蔵品」展と、11月21日〜12月13日開催の「紅葉の古建築特別公開」に合わせて、『Casa BRUTUS』11月号(現在発売中)、『芸術新潮』11月号(10月25日発売)で記事を書かせていただいた。

しかし「西の桂離宮、東の三溪園」と並び称される名苑の割に、その名も存在も知られていないのが、ヒジョーにもったいない。

入場料500円(一般)で1日中のんびり遊べるわ、織田有楽斎の作と伝えられる茶室「春草廬」、初代徳川家康によって京都伏見城内に建てられたものと伝えられる「月華殿」、京都・灯明寺から三重塔と共に移築された室町時代(!)の本堂、いずれも重要文化財指定の建築が、茶会などに貸し出しも可能だわ(9〜17時/33,000〜15,000円)、それはもう、タイヘンな太っ腹ぶりなのである。

三溪という人は、自身の私的な住居として作った内苑はともかく、三重塔を遠望し、池に蓮の花の咲き乱れる外苑を、当初から「出入り自由の別天地」として市民に公開したという、イマドキの政界財界では絶滅寸前の「経世済民」マインドの持ち主だった。その死後、原家から建物ごと三渓園の寄贈を受け、亡き主の志に則って運営している横浜市(財団法人三溪園保勝会)もまた、天晴れ自治体の鑑、というわけである。

古建築はいずれもさまざまな見どころがあるけれども、「紅葉の古建築特別公開」の対象となっている「聴秋閣」はぜひ、ご覧いただきたい。残念ながら内部に上がって観覧することはできないのだが、江戸初期に小堀遠州と名声を分け合った建築家、佐久間将監(さくま・しょうげん)の設計になる2階建ての楼閣建築で、1階の一部を45度に落としているため屋根の変化が特徴的で、ディティールも非常に凝っている。

『Casa BRUTUS』の撮影を担当した写真家の久家靖秀さんは、聴秋閣を見るなり「アダムスキー型円盤!」と言って、爆笑。建物の背後、山道を少し上がると、遠くに三重塔、その手前に聴秋閣全景という、絶好のビューポイントがある。この場所に立つと「アダムスキー型円盤」という発言のリアリティも、おわかりいただけるはずだ。

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