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杉本博司が天の岩戸を開く日。

Sugimoto_goethe1

 

だばだー、じゃなくて(それは某コーヒー飲料)。

現在発売中の幻冬舎『GOETHE』12月号で、Sントリーさんによるシングルモルトウィスキーのタイアップ記事を書かせていただいた。グラスを回しているのは巨匠、杉本博司である。

巨匠とウィスキーとの来し方行く末については記事をお読みいただくとして、現在杉本さんが構想中の小田原「スギモト・ランド」の概要について、コンパクトにまとまっている部分をご紹介しておこう。これは財団法人として運営されていく施設になるのだが、先日この財団理事に就任予定の某氏の元に届いた就任要請&受諾文書に本原稿が引用されていた。著作権料の請求をしなくては(笑)。

「現在、真鶴付近の海にせり出した傾斜地に、美術館を含めた複合施設を計画しており、僕自身の作品や蒐集してきた日本美術を展示したいと考えています。ある精神的土壌で育まれた「形象」が古美術品であるとすれば、神事や、そこから発展した能や狂言、文楽という芸能は、同じ土壌に発する「行為」だと言える。この施設には、演劇でもあり、祭祀でもあったような、祝祭的な「行為」のための空間を作りたいのです」

 180度以上を海に囲まれた岬の頂上部が、杉本の構想する舞台。カメラのレンズの材料となる、透明度の高い光学ガラスで作られた能舞台が遙かに海面を見下ろす中空に浮く。コンクリートの隧道になった橋懸かりは、地下に設置された古墳の石室を思わせる劇場への通路にもなり、年に1度、冬至の日に昇る太陽の光だけがこの隧道を貫いて、今しもガラスの能舞台へ出ていこうとする役者へと届く。

完成はまだ当分先の話になるだろうが、ベネッセアートサイト直島での家プロジェクト「護王神社」のオープニング記念能「屋島」や、2005年「杉本博司:時間の終わり」展での特別公演・能「鷹姫」、先日のIZU PHOTO MUSEUM(杉本さんが建物・庭園を設計。現在オープニング展「光の自然」開催中)オープニングでの「文楽三番叟」など、やがて現前するはずの「行為」の予兆としての芸能公演は、いずれも非常に魅力的なものだった。

芸能の原初の歓びに満ちているはずの、来るべき祝祭。近代以降閉じられたままの、芸能史の岩戸が開く日となるかもしれない。

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