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婦系図。

といっても、泉鏡花の小説の話ではない。

『和樂』新年号から始まる、水戸徳川家の文物をご紹介していく連載の仕込み中で、やれ日光だ、水戸だと、走り回る日々なのだが、水戸の彰考館徳川博物館で開催中の企画展「江戸コレ」(〜12月13日)で面白いものを見つけた。『徳川氏親姻図解』と題された「系譜図」で、家康公の父、松平広忠公から始まって将軍家は綱吉公まで、水戸徳川家は三代綱条公(つなえだ・光圀公の子)まで、江戸時代初期の徳川家の系図が記されている。

Tokugawa_keizu

ご覧の通り、松平広忠&徳川家康を中心に、姻戚が放射状に広がっていく様子が一目でわかる。わずか3〜4代を重ねるだけで、ファミリー・トゥリーがここまで枝を広げるのかと驚かれるかも知れないが、試しにご自分の一族の系図を書いてみれば、たちまち手元の紙を埋め尽くし、横へ横へと広がる枝に、お手上げとなるはずだ。

日本一有名な(?)系図といえば、京都府宮津市の籠神社(このじんじゃ)に伝わる国宝『海部氏系図(あまべし・けいず)』だが、これは長さ228.5cmの巻子仕立てに縦書きされたもので、『徳川氏親姻図解』とはだいぶデザインが異なる。

ちなみに江戸時代、水戸藩主であった徳川光圀公が「大日本史」編さんのために拝見したいといったところ、「(系図は)ご神体であるからみせることはできない」と時の宮司が断ったという話もある。

この『徳川氏親姻図解』のユニークなところは、放射状に系図を書いたところだが、なぜそうなっているのかといえば、他家へ嫁いだ家康の血縁の女性までことごとく記載しているから。江戸時代の家系図に女性の動向がここまで詳細に書かれることはほとんどないようだが、本図を見ると、有力大名のほとんどが徳川家と姻戚関係を結んでいたことがよくわかる。

日本の政治史を読み解くとき、父系から眺めるのと、母系から眺めるのとでは、見えてくる景色がまったく違うという。橋本治さんが『双調平家物語』を書くに際して、中世あたりまでの天皇家の系図を母系で記してみたらあらびっくり……という話を以前書いておられた。そういう歴史のキモがダイレクトに理解できてしまう、実はかなりデンジャラスな『徳川氏親姻図解』、できればミュージアムグッズとして風呂敷にでも仕立ててほしい。

彰考館 徳川博物館
茨城県水戸市見川1-1215-1
Tel : 029-241-2721
Fax : 029-243-0761

10:00 〜 16:30 火 〜 金
10:00 〜 17:00 土・日・祝
※ 入館は閉館の30分前まで。
水戸駅(北口)から
タクシ−で約10分
バス4番のりば 茨城交通バス3又は37系統 「見川2丁目」下車、徒歩5分

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