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ガラス 虎の穴、三保谷硝子店。

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『Casa BRUTUS』での連載「ニッポンの老舗デザイン」用に、AXISでの「三保谷硝子店──101年目の試作」展(会期終了)と、西麻布の店を取材させていただいた(撮影しているのは写真家の久家靖秀さん)。故・倉俣史朗のデザインを支えた三保谷硝子店は、建築家やデザイナー、アーティストたちが大手のメーカーでは不可能といわれた難題に取り組み、見事に解決してきた日本随一の「ガラス虎の穴」である。

以下、日頃三保谷硝子店と交流のある17組が出展。アシハラヒロコ/五十嵐久枝/海藤春樹/川上元美/近藤康夫/杉本貴志/杉本博司/高松 伸/トラフ建築設計事務所/橋本夕紀夫/廣村正彰/藤塚光政/堀木エリ子/宮島達男/八木 保/山田尚弘/吉岡徳仁

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倉俣がかつてアクリルで制作した「ルミナス」を、最新の成型技術を用いることで、素材をガラスに置き換えて制作。三保谷友彦社長による「倉俣オマージュ」だ。自重で自然に垂下する曲面を作るのはカンタンだが、床と(ほぼ)並行の座面を作り出すのは、一筋縄ではいかない。


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カメラのレンズに使われる光学ガラスを砕いて板ガラスの直方体の中に閉じこめた、杉本博司による「ガラスの衝立」。三保谷硝子の作業場で、杉本さんがひとつひとつのブロックの形状や向きを指示しながら、積み上げていった。


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吉岡徳仁が使ったのは、プラズマTVに使われる特殊な電球をリサイクルしたガラス素材「パステル」。乳白色で半透明、まるで大理石のようなテクスチャーを持つ。


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三保谷硝子店作業場。

社長の三保谷友彦さんは揉み手でクライアントの我が儘を聞く「下請け」ではない。自店から素材を提供したクリエイターに対してであっても、手抜きや怠惰、勉強不足、 傲慢を厳しく叱咤し、ガラスという素材で何ができるか、彼を唸らせる発想を突きつけて来いと挑発し、激励する、厳しく誠実な職人なのだ。

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立て掛けてある板ガラスの間に挟んであるのは・・・

詳細はぜひ記事でお読みいただきたいが(『Casa BRUTUS』2010年1月号/12月10日発売予定)、特別に入らせていただいた店の4階にある「奥の院」、最先端の試作品を並べた部屋はすごかった。「こ、これどう なってるんですか!?」「ヒミツ(笑)」「ちょっとそのあたりを撮影させていただいてもいいですか!?」「ダメ(笑)」というやりとりがあったので、具体 的なことは一切書けないが、およそガラスに可能とは思えない加工や成型が施された「試作品」がごろごろしているのである。

ガラスにはまだまだ恐るべき可能性がある。扉は簡単には開かないだろう。だが本気で取り組みたいクリエイターは、どんな伝手をたどっても紹介者を探し、「一見お断り」の三保谷硝子店の門を叩いてみるといい。

追記:

仕事の話にはものすごくシビアな三保谷さんだが、鏑木清方とかスキなんだよねー、という柔らかな一面もお持ち。百貨店・松屋出入りの職方であるため、幼い頃からデパート美術展で日本画などを見る機会は多かったそうだ。

「清方の描く女性はホントに色っぽいんだよ。『築地明石町』なんか、いくらくらいするの?」って、いえ、切手の図柄にもなっているアレは門外不出かと。間もなくサントリー美術館で始まる「清方/Kiyokata ノスタルジア — 名品でたどる 鏑木清方の美の世界 —」展(11月18日〜2010年1月10日)の招待券を束でお送りしたが、広報のM浦嬢、ただちにオープニングへの招待状を差し上げて下さい!

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