「椀一式」プロジェクト [2] 箱と重
撮影:石井宏明(このエントリーすべて)
「椀一式」プロジェクトの第2部がこちら。第1部に引き続き、松屋デザインギャラリーで2010年1月27日〜2月23日に開催される。
依頼のあった当初、デザインコミッティーの間で話し合われたのは、以下のような内容だった。
「伝統工芸品に安易にデザインを持ち込むことには皆、抵抗がある。伝統の形は誰かが意図して作れるようなものではなく、人々の暮らしの中で積み重ねられてきた遠大な営みの賜であることを経験的に理解しているからである。(中略)日常の無数の行為の堆積の中に伝統の形は育まれてきた。だから当初、飛騨春慶を用いて何か新しいものをと請われた時には皆、二の足を踏んだ」
「なすべきはデザインではなく、飛騨春慶の素晴らしさを見立て直すことではないかという思いであった。特に箱の数々は簡潔で美しく、新たなデザインの余地など見あたらない。もしこれが売れないなら、造形ではなく、暮らしの中でそれらをどう使うかという見立てが不足しているからだ」単行本『椀一式』前書き(原研哉)より
最終的に第1部は昨日のエントリーでご紹介した「椀一式」を新たにデザインし、第2部は同じメンバーが、それぞれの目で製品を見立て、使い方を含めて提案するという構成になった。単行本も後半は「箱と重」として、この美しい箱の数々を写真とメンバーのテキストによって紹介している。
第662回デザインギャラリー1953企画展
飛驒春慶×日本デザインコミッティー 「椀一式 ー 使う漆器へ」
2010年1月27日〜2月23日
松屋7階・デザインギャラリー1953
東京都中央区銀座3-6-1 電話 03-3567-1211(大代表)
共催:日本デザインコミッティー、(財)飛驒地域地場産業振興センター、(財)岐阜県産業経済振興センター デザインセンター(通称:オリベデザインセンター)
展覧会担当:原研哉(プロジェクト+展覧会+書籍のディレクションを担当)
出展:飛驒春慶ひのき会
代表:日進木工(株)代表取締役 北村 斉
職人:中屋憲雄、西田恵一、滝村紀貴、矢島浩(日進木工)、他
参加デザイナー(日本デザインコミッティーメンバー):深澤直人、原研哉、岩崎信治、川上元美、小泉誠、黒川雅之、松永真、佐藤卓
■問い合せ先
日本デザインコミッティー事務局
東京都中央区銀座3-6-1松屋北館4F
電話03-3561-2572 F03-3561-6038
e-mail:jdcommit@yb3.so-net.ne.jp
URL : http://designcommittee.jp/
担当:土田真理子、樋口珠由子
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コメント
全く関係ありませんが、芸術新潮11月号の原三渓の記事で
106ページ2段目に唐突に出てくる「白崎」って誰ですか?
何だかなあ。
投稿: CYG | 2009年12月 2日 (水) 23時23分
ご指摘ありがとうございます。
校正前のテキストでは、その前に白崎秀雄氏に触れている個所があったため、ご指摘の個所では名字のみの「白崎」としているのですが、校正で該当個所を削除した後、初出を白崎秀雄、とするべきところに気づかず、そのまま掲載してしまったようです。今後はこのようなミスのないよう、十分留意していきたいと存じます。
投稿: 橋本麻里 | 2009年12月 3日 (木) 10時15分