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オラファー・エリアソン 虹と霧のバラード。

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「あなたが創りだす空気の色地図」 人工的に発生させた霧で満たした展示室をRGBカラーモデルにある赤、緑、青の三原色が照らし出す。色域が境界上で混ざり合い、移動するにつれて視野を占める色が移ろっていく。今回の展示のクライマックス。この作品を体験するためだけにでも、金沢へ行く価値あり。それにしても人工の霧をつくり出すドイツ製のhaze machineは優秀&不思議だ。「霧」の成分はなんなのだろう。湿度はほとんど感じないし、もちろん健康面でも問題ないというけれど…。オラファとしては館内全体を霧で覆いたかったようだが、諸般の事情で断念。一時的にその状態にして図録用の撮影を行っているので、図録の完成を楽しみに待ちたい。



オラファー・エリアソンによる大規模な個展 "Your chance encounter(あなたが出会うとき)"が、金沢21世紀美術館で始まった。

今展は開館5周年記念展として企画されたもので、SANAAによる建築の水平性、回遊性、透明性を生かし切ったサイトスペシフィックなインスタレーションが、新作を中心に18件展示されている。

オラファー・エリアソンは2003年、テート・モダン(ロンドン)のタービン・ホールで発表した《The Weather Project》によって一気に世界中で知られるようになった作家だが、日本ではまさにその03年、21世紀美術館開館時のコレクションに加えられてお り、06年には原美術館で「影の光」展も開催された。

オラファーの作品は光、影、色、霧、風、波などさまざまな自然現象を分解、再構成して人間の知覚を揺さぶり、認識の組み替えを迫る。

だがそれを「自然」現象という言葉で表現すると、少し印象が違うかもしれない。オラファーの作品に接すると、それは私たちが日頃、光、影、色、霧、風、波 という文学的なイメージと共に認識することがらとしてではなく、物理法則に従って生起し、感覚器によって知覚し、最終的に脳の情報処理過程で情動と連動さ せながら認識している、気象、あるいは物理現象のひとつだったのだと、再確認させられる。

にもかかわらず、というか、だからこそ、というべきか、オラファーの作品には私小説風のウェットな物語性は微塵もない代わりに、優れた科学的知見や科学者自身が備えているのと同じ詩情が豊かに、霧のように立ちこめている。

いずれにせよ、生身の身体をその場におき、自らの感覚器で知覚しないことには理解できない作品ばかりなので、3月22日までになんとかして金沢まで足を運んでほしい。これほどさまざまなバリエーションの作品に、国内で触れることができる機会はしばらくないだろうから。



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「スターブリック」 スタッキングできる照明。ドイツのツムトーベル・スタッフ社の製品で、1基30万円程度で販売されている。「おうちにひとついかが?」と勧められたが、1基だけあってもサマにならない。壁面にびっしり積み上げる、とかしないと…。

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「動きが決める物のかたち」 精密なCGかと思ったら……

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リアルな3次元の回転体を投影している。

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「見えないものが見えてくる」 霧で満たされた縦長の展示室の端から、途中ガラスの箱を通過させた強力な光条が放たれている。その光の前を横切ろうとすると、物理的な圧迫感させ感じさせられる。

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「色のある影絵芝居」 光源と万華鏡のような立体的なスクリーンの間に人が立つとご覧のような影絵が映る。

 

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「ゆっくり動く色のある影」 オラファーは展示室内に「機構」をむき出しで設置するため、この作品も見てみれば拍子抜けするほどシンプルな原理に基づいて設計されたことがわかる。同時に作品化されるまでに気が遠くなるほど精緻な検証が行われたであろうことも。だいたい物理法則というのは単純な式で記述されるものほど深遠で美しいと相場が決まっている。E=MC2とか。

 

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「水の彩るあなたの水平線」 展示室中央に水盤が設置され、そこから投射される(いったん水中で反射、屈折が起こっていると思うのだが)光が壁面に極光を描き出す。

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「ケプラーは正しかった自転車」 ヨハネス・ケプラー(1571〜1630)はドイツの天文学者にして占星術師。「完全なる神は完全なる運動を造られる」として、コペルニクスやガリレオも脱却できなかった惑星の円軌道説を否定、楕円軌道説を提唱したわけだが、この作品はそのあたりに基づいているのでしょうか。作家に聞いてみないとわかりません(笑)。ちなみに主著〝Harmonice Mundi 〟は『宇宙の調和』として工作舎より09年に刊行された。ラテン語原典より本邦初の完訳。

 

図録は会期中に(たぶん)刊行される予定。オラファー自身が図録全体のディレクションを希望し、作品写真も設置の終わった一昨日(19日)に自ら撮影したそうだ。

もちろん巡回もない。共催できれば経費を分担できるため美術館としては楽になるのだが、この館のために(建築ばかりではなく、この館を包含するコミュニティ全体も含めて)企画された展示であるため、他館への移設は不可能であるとして、これもオラファーによって却下された。

 

Olafur Eliasson "Your chance encounter"
オラファー・エリアソン - あなたが出会うとき

2009年11月21日(土)~2010年3月22日(月)
10:00〜18:00 (金・土曜日は20:00まで/1月2、3日は17:00まで)


会場
金沢21世紀美術館
展示室6〜12、14


休場日:
毎週月曜日(ただし、11月23日、1月11日、3月22日は開場)、
11月24日(火)、12月29日(火)~1月1日(金)、1月12日(火)料金:

料金:
一般=1,000円
大学生・65歳以上=800円
小中高校生=400円

お問い合わせ:
金沢21世紀美術館
TEL 076-220-2800

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