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須田悦弘さんのアトリエ。

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木彫でリアルな植物(タイサンボクやテッセン、チチコグサモドキにいたるまで)を彫り出し、サイトスペシフィックな展示を行う現代美術作家の須田悦弘さんとは、2002年のBRUTUS「日本美術? 現代アート!」特集とAERA「ART BIT」相乗り企画で、唐招提寺の建築+仏像とコラボレートしていただいて以来のおつきあい。

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AERAでは講堂(国宝)の柱に空いた古い釘穴に雑草を挿してもらい、BRUTUSでは梵天像(国宝)の足下に夏椿を置いて撮影。当時は10年がかりの金堂修復工事が始まってすぐ(2000年〜)だったが、こちらもめでたく今年の11月1日、落慶法要が営まれた。

大倉集古館での展覧会「拈華微笑(ねんげみしょう) 」で、普賢菩薩像(国宝)と雑草、というコラボ展示をしたのもこの年だから、須田悦弘×古美術、のスタート地点から見ていることになる。

以前から作品集があればいいのに、作ってくださいよ、という話は繰り返ししていたけれど、それが近いうちに形になるところまで漕ぎ着けた(あとはテキスト部分をお手伝いさせていただいている私が担当分を仕上げれば……)。

Desk

須田さんの仕事机。東京国立博物館で最近見てきたばかりの「紅白芙蓉図」(南宋、国宝)のポストカードや資料写真、彫刻刀、着採用の筆などが無造作に置かれている。

というわけで、先日須田さんの自宅兼アトリエにお邪魔したのだが、集合住宅でいかにご近所に迷惑をかけず材料を切り出すか、タイサンボクやシャクヤクなど、花弁の多い大型の花卉がどんな構造になっているのか、その制作のヒミツをいろいろ教えていただき、非常に楽しい取材となった。

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鉈を材木(朴の木)に当てて、万力にセット。

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締め付けていくと、木の目に沿って板が割れる。この薄板から花弁や葉を削り出す。床置きした材木を鉈で上から下へパカンと割るのでは、音が大きすぎるために編み出したワザ(笑)。

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シャクヤクの花はこんな風に分解できる。茎と葉のパーツ。茎の中心に軸を差し込むようになっている。

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花弁は1層、2層、3層に分かれており、1枚ずつ別々に彫った花弁を軸を中心に貼り合わせる。 

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組み立てるとこうなる。

須田さんが木彫にハマるきっかけとなった伝説の処女作は、植物ではなくなんと「スルメ」。久しぶりの「再会」だが、さすが「スルメ」感満点。

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この作品を作ったのは多摩美の1年生の時。思いの外うまく彫れたことに気をよくして、本物のスルメの匂いまでつけたという。

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やはり学生時代に彫った雑草。これにくらべれば、現在の作品には格段の技術の進歩が見て取れる。制作スピードもずいぶん上がったという。職人的な技術の進歩と、作家的な表現のコントロールの問題については、作品集内のインタビューにて。

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卒業制作のタイサンボク。学生時代からこの花が好きだった。 

卒業後、就職するか作家の道を進むか迷った須田さんは、とりあえず就職を選択。日本デザインセンターにグラフィックデザイナーとして採用されるのだが、その面接試験に持って行ったのが、この「スルメ」だった。ちなみにそのときの面接官の一人は原研哉氏。内心「大丈夫かなこいつ」と思っていたと、原さんから伺ったことがある。

結局デザインセンターはぴったり1年で退職、今日の作家・須田悦弘があるわけだが、その紆余曲折は作品集でお読みください。

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